最近、トリイヘイデンさんの「シーラという子」、「タイガーと呼ばれた子」を立て続けに一気読みするほど面白かったので、レビューを書くことにしました。
実話をもとにされているいわれる物語の舞台はアメリカ、シーラという貧困層の小さな女の子が、とある事件をおこしたことをきっかけにトリイヘイデン氏に出会い、とまどいゆれながら成長していく過程がセンセーショナルな出来事とともに描かれ、このハラハラドキドキが実に上手くまとめられていて実話とは思えないストーリーに仕上がっています。
シーラという子は前編ともいえるもので、トリイとシーラの出会いから通常学級へ飛び級で編入学したところまで、
後半部のタイガーと呼ばれた子は、その後のシーラの足跡とティーンエイジャーになったシーラとトリイと再会から再び希望をつかむまでの話になっています。
この話の主人公シーラをとりまく家庭環境は貧困、虐待、…と致命的で、教育環境だけでは補完しきれないほど悲惨なもので
…
そんなシーラをさらに苦しめたのがIQがずは抜けて高かっことと、身なりを整えたらとてもキレイな白人の女の子だったことだったことだなんて…悲劇としかいいようがないなぁという感想をもちました。
アメリカの大統領がバイデン氏になって、
トランプの白人至上主義者達が、白人というだけで優遇されてきた人たちが、立場が逆転することをおそれて慌てているとか、いないとか、そんなニュースを聞くと、
シーラは今回の大統領選をどんな風に思ってるのかなぁ、と気になります。
シーラが白人でなかったら、この物語はどんな展開になったのだろうか?
季節労働者キャンプの一室でのくらしが、ほんとうに最底辺なのかどうかは、
日本のなかにどっぷり浸かってあぐらをかいてる私には知る由もなくて、
少なくとも路上生活よりはましなのかな、とか…
シーラの父親は、白人という特権だけをよりどころにしていているようにも思えるし、
でも白人の特権があったからこそシーラがたちなおれたのだとしたら、
シーラにとっては幸せなことだったのだと思います。
シーラほどの知性があれば、世の不条理についてちゃんとした判断をもつだろうし、
白人の中にもどうしょうもない貧困にあえぐ人がいるということ、
施しを拒否するんじゃなくて、
それぞれが歩み寄ってよりよい世界にしていけるといいね、そんなふうに思いました。